理事長ご挨拶

世界人権問題研究センター理事長 大谷實(おおやみのる)の写真
公益財団法人世界人権問題研究センター 理事長
大谷 實

理事長就任にあたって

この度、世界人権問題研究センター理事会の選定により、当センターの理事長に就任しました大谷 實(おおや みのる)でございます。一言、就任の挨拶を申し上げます。

当センターの初代理事長は、林屋辰三郎先生、2代目が上田正昭先生でありまして、私は3代目理事長ということになります。前理事長の上田先生は、改めて申すまでもなく、平安建都千二百年記念事業推進協議会において、「21世紀は人権文化の輝く世紀となるべきである」と力説され、当センターの設立に心血を注がれた、当センターの生みの親ともいうべきで功労者です。

上田先生は、1997年副理事長、1997年6月から2015年3月までの18年間は理事長として、初めは田畑 茂二郎所長、次いで安藤 仁介現所長とともに、卓越した指導力を発揮され、只今のようなアジア地域で初めての総合的な学術研究団体の構築に成功されました。

偉大な足跡を残された上田先生の後を受け継ぐ私は、如何にも力量不足であり、大任を全うできるか、大変不安でございます。ただ、幸いにも私は、1997年の人権擁護施策推進法に基づく人権擁護推進審議会の学識経験者委員として、5年にわたり審議に参加して人権問題に取り組んだ経験があり、また、学校法人同志社総長に就任した2001年からこの度の理事に就任するまで、当センターの評議員として運営に参加してまいりました。さらに、犯罪被害者の人権問題にも長い間関心を払ってまいりました。そうした経験を活かしながら、畏友・安藤仁介所長のお助けを仰ぎ、評議員会、理事会のご支援を頂戴しながら、当センター事業の発展に尽力したいと考えております。

さて、1994年の創立当初、当センターは、文部大臣から財団法人として認可された団体でしたが、2012年には、内閣府認定による公益財団法人に移行いたしました。参考までに法人の定款を見てみますと、第3条に、「この法人は、平安建都1200年を記念して、京都の歴史と伝統、特に学術を初めとする文化を基礎に、人権問題について広く世界的視野に立った総合的な調査・研究を行い、この問題に関しての広範な学問分野での交流や国内、国外の研究機関及び研究者との連携、交流を促進し、もって国の内外にわたる人権問題に係る学術・研究の振興を図ることを目的とする」とあります。

この目的に即して、只今は、第1部「国際的人権保障体制の研究」、第2部「同和問題の研究」、第3部「定住外国人の人権問題の研究」、第4部「女性の人権問題の研究」、第5部「人権教育の理論と方法の研究」の5部門に分かれて、調査・研究が展開されており、部長、専任研究員、客員研究員および嘱託研究員約100人が調査・研究に取り組んでおり、多くの成果を挙げてこられました。

しかし、同和問題をはじめ、女性や定住外国人を巡る人権侵害が解消されていないばかりか、インターネットによる差別など、新たな人権問題が生まれつつあります。また、昨年発行された「世界人権問題研究センター 20年史」を拝見しますと、例えば、人権諸条約の効果的な実現を保障するための国際的な制度の構築(第1部)、民主化が進展した現代における差別意識の現状把握(第2部)、ヘイトスピーチなどについての新たな定住外国人問題の取り組み(第3部)、女性問題の歴史と現状の見直し(第4部)、生涯学習としての人権教育(第5部)などが喫緊の課題として挙げられているところであります。

私は、理事長として、当面、現行の5部体制を維持しながら、調査・研究の一層の発展・充実を図りたいと願っています。当センターの研究業務の統括者である安藤所長の方針に従い、所長と研究部長で構成されます研究運営委員会の協議に基づき、研究部門の円滑な運営および人権大学等の人権啓発活動に努めてまいる所存でございます。
当センターが、国内はもとより、世界に人権文化を発信する拠点となることを念願して、努力する覚悟です。ご支援ご協力のほど、何卒、宜しくお願い申し上げます。

(2015年4月)